認知機能リハビリ分野の聖地・北海道
認知機能の研究やリハビリへの取り組み等、北海道大学を中心として、全道先進的に取り組んでいます。
以前からあこがれであった北海道へひとっとびして、学んだことをレポートします。
「北海道精神科認知リハ研究会」レポート
北海道精神科認知リハ研究会は、今回で5回目です。
医師、作業療法士、心理士、看護師などとにかく多職種が多く集まり、同じ机上でリハビリの課題を議論していました。
患者さんのリカバリーをささえるには、多職種が連携していくことが大切!
とはいえ、現場はなかなかうまくいっていないのが現状です。
北海道は、認知機能をキーワードに多職種がつながっていました。
この職種間の垣根を越えて、一つのチームが作られている事に感動を覚えました。
チームの皆さんは認知機能に興味を持つことだけでなく、医療の原点である「患者さんが良くなる」事を一番に考えているから、この連携が取れるんだなあと感じました。
この姿勢を改めて私の勤務病院でも、伝えていこうと思います。
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リハビリ現場でみえてきた課題と解決方法
私自身の病院も認知機能リハにとりくんでいます。
そんな中で担当の患者さんがある程度のクールをこなしてきたのに、脱落、精神症状悪化…
そして「こんなこと役に立つわけないじゃないですか」という言葉をのこして修了した患者さんとたて続き、凹んで凹んで凹みまくっていました。
患者さんのためにならなかったら、リハビリが意味ないじゃん (´;ω;`)ウゥゥ
homareko
これが私の悩みなんですが、何かアドバイスがあれば教えてください!
偉い先生
先進国・北海道が教えてくれたリハビリ現場の課題の4つの解決方法
今回は胸を借りるつもりで、私の疑問をぶつけてみた所、この4つのポイントを教えて頂きました。
それぞれ詳細を書いていきたいと思います。
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① 認知機能リハのみで解決しようとしない!
どうしても、認知機能リハにたずさわっていると、認知機能をよくしようと認知機能ばかりにこだわりすぎてしまいがちです。
患者さんにとって、認知機能リハはリカバリーへの単なる1過程にすぎません。
患者さんの目標は、認知機能をよくすることではなく、自分自身のもつ夢や希望の実現です。
「その原点を見失うな!」ということです。
認知機能が改善しても、対人機能がうまく働かなければ、社会にでていくことに臆病になります。
病識が不安定ならば、再発の危険性は高くなります。
患者さんの夢や希望に寄り添い、認知機能リハができること、できないことを見極めていくこと。
できないことは他のプログラムに託す気持ちが大切です。
homareko
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② 認知機能のみに焦点をあてない動機付け方法
患者さんがリハビリに携わるときに一番大切にしなければならないのが、本人がやりたいと思う気持ち(内発的動機)です。
そして、リハビリの期間、楽しいから続けたいという気持ち(本物の内発的動機)を持続させることが重要です。
認知機能リハビリの段階はこの「神経心理ピラミッド」の下から上に進んでいきます。
私は、患者さん自身の生活の困難さと認知機能とを結び付けていくことで動機付けができると信じていました。
しかし、患者さんは、自分の生活が困難になっていることに気付けないことがほとんどです。
患者さんが自覚できているのは、主に、不安、抑うつ、やる気、疲労(これもわからないことが多い)、体調など
患者さんの自覚できるところからアプローチしていく姿勢が大切です。
認知機能をきたえるときは、患者さんに「楽しい」「好き」という気持ちをもってもらえるようなプログラム提供をしていくことが重要なポイントです。
また、認知機能が良くなる事につれ、患者さん自身が自分の事を気付いていく様になります。
この気付きを少しずつ、生活とつなげていくことや生活の中で出来るようになっていることをフィードバックしていけばよいのです。
homareko
なるほど、動機づけの順番がまちがっていた、、、リハへの手順はこういうことか
私自身が反省して考えた認知機能リハ導入までの手順
1・からだは健康ですか?頭はさえていますか?精神的疲労はありませんか?不安はありませんか? 落ち込んでいませんか?
2・プログラムは楽しいです!もっと好きになってもらうにはどうしたらいいだろうか。
3・認知機能がきたえられています。生活の中で変化はありませんか?この機能をきたえるとこんな効果があります!
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③ 患者の満足度を考える―自己効力感の高め方
患者さんの反応が快いものでない時、どうしようと迷います。
そこで、一気に解決!
提示されたのが、次の表です。
この表は効果期待と結果期待のバランスにより患者さんの満足度、自己効力感が決まる事が書かれています。
満足や自己効力感が高まれば、リハビリにも積極的に自信をもって取り組むことができます。
なので効果期待と結果期待を++に仕向けていくことが大切です。
もしどちらかが-になっていたら、できるだけ+に傾けていくアプローチを心掛けていくことで、リハビリへの取り組みを持続しようという気持ちになってもらえるということです。
homareko
今回はリハビリの始めに結果を期待させすぎてたんだなぁ…リハがすすむにつれ、効果がだんだん期待できなくなり、疲れさせちゃったんだ…ごめんなさい。
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④ 認知特性に合わせてリハビリをすすめろ!
誰もが、得意不得意があります。
リハビリにたずさわっていると陥りやすいのが、弱いところばかりきたえようとしがちになってしまうことです。
しかし、耳からの情報をまとめることが得意な人、目からの情報の方が理解しやすい人など…
それぞれの特性に合わせて、きたえ方のアプローチを変えてあげることが大切です。
患者さんが学習するのに最も効果的な方法でプログラム提供を考えることが、患者さんの「できた」「わかった」「楽しい」「やりたい」につながっていきます。
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今回の私の学びと気付きは、どの現場でも陥る問題点だと思います。
これは先進的に取り組んできた北海道の現場だからこそ、問題の解決方法の指南を頂けたと思います。
「さすが!北海道!ありがとう!北海道!」と感謝の気持ちでいっぱいです(^▽^)
学んだことは私たちの現場にも生かしていきたいと思います。
このレポートが、私の勤務病院だけでなく、認知機能リハ現場の問題解決にお役に立てたらうれしいです。<(_ _)>
先日は北海道までお越しいただきありがとうございました!
優しく素晴らしい先生に出会えたことに感謝しています。
ブログも過去の記事も含めて拝見させてもらいました。本質をついた分かりやすい内容で、伝え方も含めて興味深く勉強させていただきました!
認知機能にこだわりすぎないこと。とても大事ですね。認知リハが重要と思うからこそ根っこにあるリカバリーを実感するし、肝に銘じておきたいですっ!
KUNITAさん、コメントありがとうございます。
また、北海道では大変勉強させていただきました。
あらためてお礼もうしあげます。
患者さんのリカバリーを患者さんとともに喜ぶことができるなんて、とても幸せだなと。
これからも、頑張っていきたいと思います。