「ロッカーに置いてあったはずのものが見つからない・・・」
さて、この状況に遭遇したらあなたはどう考えますか?
最初に思い付いた考えに取りつかれることを早とちりといいます。
早とちりは自分を救ってくれることもありますが、思い込みすぎるとトラブルのもとになってしまいます。
特に心の状態が悪い時は、早とちりが妄想への扉になってしまうので要注意です!
目次
だれもが早とちりするくせがある
この絵は何に見えますか? よーく見てください。2種類の動物が見えますか?
いかがでしたか?
一度見えた考えにとらわれてしまうと、なかなかもうひとつの答えがすんなりわからない感覚を味わっていただけたかと思います。
私たちの頭はそもそもあまりやわらかくできていません。
鳥にみえますね。でも見方をかえると
ウサギにもみえます。
早とちりに取りつかれると、ほかの考え方が思いつきにくくなります。
たとえば、こんな状況のときを想定してみましょう。 タンスにいれておいたはずのものが見つからない・・・
このような状況に遭遇したとき、すべての真相を知らないままに私たちは結論を下してしまうことがあります。
最初に思い付いた考えが「誰か盗った?」だとしたら?
この考えが浮かんだあなたは、周囲の人を疑ってしまいます。
せっかちさんだったら、瞬間湯沸かし器のように怒りまくる、警察に訴える、監視カメラをつけるなどの行動にでるかもしれません。
この考えにとりつかれていると、私は狙われているといった妄想につながってしまうかもしれません。
homareko
大げさだと思われるかもしれませんが、実際の妄想はこんな風にできあがっていきます。
でも、「実はポケットに入っていた」なんてことだったら?
早とちりの引っ込みがつかなくなってしまい対人関係のトラブルにつながってしまうかもしれません。
「誰かがあとでポケットに忍び込ませたに違いない」なんていいわけをしても、誰も信じてくれないですね。
この早とちりのように少ない情報で結論を導き出すことを「結論への飛躍」といいます。
結論が早いということは、素早い判断ができるというかっこいいイメージがありますが、少ない情報で判断するため間違っている可能性が高くなります。
自分はせっかちではないから大丈夫ということはありません。
だれでも少ない情報で判断してしまう場面はたくさんあります。
判断してしまうとなかなかそのほかの考えが思い浮かばなくなるのも事実です。
大切なことは、早とちりしているかも?と気づくことです。
homareko
最初に思い浮かんだ考えを吟味するクセがつけられるといいですね。
結論をいそがないで
たくさんのことを一度に処理しなければならない時、時間に追われている時、災害時など、少ない情報で素早く判断が求められる場面もあります。
「結論への飛躍」が重宝される場面は、災害時や救急の時などです。
しかし、大抵のことは、判断を急がなくても大丈夫なことが多いです。
状況をじっくりと考え、たくさんの情報をあつめて判断していくクセをつけていきましょう。
ストレスがたまっていたり、焦ったりしているときは、早とちりに陥りやすいので、特に結論にいそがないように心がけるようにしましょう。
私たちは一度結論を導き出してしまうと、誰もがなかなか考えなおすことがむつかしくなってしまいます。
結論づける前に、いろいろな関連する情報に目を配り、いろいろな結論を考えていけるといいですね。
重要な決断こそ確かな事実に基づいて判断するようにしましょう。
結論をいそがないためのワークシート
早とちりで失敗しないためのポイントは次のとおりです。
早とちりしないためのポイント
・その場で決めつけない
・第一印象をうのみにしない
・絶対にあっているとおもいこまない
・事実を頼りに判断する
・早とちりは間違える危険性が高いと心得る
・情報収集はしっかりと
もっとまわりをみてみましょう。
直前におこっていたことはどんなことでしたか?
注意深く観察してみましょう。
気づいていない情報があるかもしれませんよ?
最初に思い付いた自分の考えを事実と照らし合わせて、ちがう考え方もできるだろうかと考えてみることをおすすめします。
たとえば
事実と考えたことが一致すると結果OKですが、一致しない時は問題の解決にいたりません。
結論をいそがず、問題が起こった時ほどあせらないで考えてみましょう。 あなたの問題をワークシートで考えてみましょう。
メタ認知トレーニングを体験してみよう
病院で行われているメタ認知トレーニングでは、早とちりにとりつかれないためのトレーニングを行います。
自分が早とちりしやすいクセがあることをうけとめ、早とちりをしたまま過信しない練習をおこなっていきます。
実際の課題は、こんな感じです。 ひと筆ずつ加筆していきますので何を描いているかあててください。
何に見えますか?いろいろ考えてみましょう。
何に見えてきましたか?違うかもしれないと疑いながら考えてみましょう。
何に見えてきましたか?正しいかもしれないけれど疑いながら考えてみましょう。
何に見えてきましたか?たぶん正しいと思うけれど疑いながら考えてみましょう。
何に見えますか?正しい決断をしてみましょう。
いかがでしたか?少ないヒントでは、なかなか正解に結びつかないことが実感できたかと思います。
①絶対ちがう、②ちがうかもしれない、③正しいかもしれない、④たぶん正しい、⑤決定というように5段階で結論に導いていきましょう。
トレーニングでは、このような課題を通して
・じっくり情報を集めてから決断をくだす
・多くに注意を払う
・見方を変えてみる
・いろいろな可能性を考えてみる
などの力をきたえます。
心の調子がわるかったり、病気だったりすると、結論への飛躍に陥りやすく間違った判断を信じこんでしまうことがよく見られます。
このようなトレーニングで早とちりを過信しないクセをつけていくと病気のコントロールもよくなります。
今日のポイント
・早とちりはだれでもする
・第一印象をきめつけないようにしよう
・事実で判断しよう
・たくさんの情報をあつめて判断しよう
・最初に思い付いたことは間違っている可能性が高い
語句説明
結論の飛躍…少ない情報で結論づけてしまうこと。早とちりのこと
妄想を繰り返さないためには、早とちりや第一印象を確信しないことです。
その考えは事実に基づいていますか?
事実からほかの考え方も考えられませんか?
ほかの考え方の証拠もあつめてみましょう。
参考 MCT-J netメタ認知トレーニング+ ユニット5 正しい結論をくだす