前回は、「早とちりは妄想の入り口」というお話をしました。
※メタ認知トレーニングをやってみよう!やわらか頭で考えよう! 早とちりにご注意を!!
早とちりは危険です。
今回は、早とちりを思い込みにつなげないポイントをお話ししたいと思います。
妄想になってしまう前に、気づいてください。
思い込みをかえていきましょう。
目次
誰もがひっかかっている思いこみパターン
よくありがちな例を挙げてみますと
A型の人はとても優しく、自分の意見を無視してでも相手をたてるような相手への気配りに長けた人です。
誰に対しても優しく接するので、初めてあった人からは「優しい人」といった印象が強くつきそうです。
真面目で曲がったことがきらいです。
なるほど。そうなんですね。言われてみたらA型の方はそういった方が多いと思います。
看護師さん
homareko
ここが思い込みです。
血液型の性格判断は、誰もが共通した思い込みをもって見ているので、A型の人は、やさしい、まじめ、曲がったことがきらいと決めつけてしまうのです。
そして、人は信じたいものを見て、信じたくないものは見ない傾向があるため、「合ってる、合ってる」と思い込んでしまいます。
実際は血液型と性格は科学的に関係していません。
これは、だれもがひっかかっている思い込みパターンの一例です。
このような思い込みにいたりやすい落とし穴はこんなところにあります。
思い込みにいたりやすい落とし穴
① 第一印象にこだわってしまう
② 過度な一般化
③ 規則性にひっかかる
④ 期待しているものだけ見える
これらの特徴をもう少し説明しますと
【① 第一印象にこだわってしまう】
だれもが第一印象を大切にする傾向があります。
特に、深く考えるのがめんどくさい人、事態の視点や状況をはっきりさせなくてはならない時、プライドが高い人は特に第一印象で決めつけてしまう傾向が強く出てしまいます。
【② 過度な一般化】
過度な一般化とは、ひとつをみて全部見た気になることです。
「一を聞いて十を知れ」と論語では教えていますが、早とちりから始まってしまうと全部間違ってしまいます。
【③ 規則性に引っかかる】
この規則性について、もう少し分かり易く説明する為に問題を出します。
あなたの答えはいくつですか?
数字が2つずつ増えている、奇数がならんでいるなど自分の仮説をたてて答えをみつけていきました。
私たちは、規則性をみつけたらその答えを探すことに夢中になります。
自分の立てた仮説そのものを疑うことをしないため、別の規則性があることに気づきません(確証バイアス)。
【④ 期待しているものだけ見える】
急いでいる時、すべての信号がすぐに赤に変わるようにみえ、前を走っている車がわざとゆっくり走っているようにみえることありませんか?
実際には「信号の変わるスピードはいつもと変わらず、前の車は制限速度内で走っているだけなのに」です。
私たちは、見たいものを見たいように見て、聞きたい情報を期待した通りに記憶していくクセがあります。
homareko
思い込みにいたりやすい落とし穴は日常生活の中でたくさんありますね。
○○に決まっている、○○だと思い込んでしまうことの弊害
思い込みをそのままきめつけてしまうと、対人関係に問題が起こりがちになり、自分の周囲を正しく現実的に理解することができなくなります。
焦っていたり、ストレスをかかえていたり、ピンチの時などは、自分の意見に反対する考えや情報があっても、無意識に拒んでしまう傾向がでてきてしまいます。
そういう状態のときほど、やわらか頭で考えることを思い出してください。
homareko
結論をすぐに出さず、先送りにして、確かな証拠や事実をさがしていきましょう。
メタ認知トレーニングを体験してみよう
病院で行われているメタ認知トレーニングでは、早とちりにとりつかれないためのトレーニングを行います。
思い込みがおこりやすいパターンを理解し、考え直す練習をおこなっています。
実際の課題は、こんな感じです。
今から三枚の絵を見せます。絵は、現在から過去への順番に見せます。
絵のエピソードとして最も適しているものを選んでください。
一つの考えに固執せず、広い視点を持って見ていきましょう。
ストーリー1
① 競争に負けたウサギが怒っている
② けんかをしているウサギとカメをみんながなだめている
③ ウサギとカメが協力してゴールしたことを喜んでいる
ひとつ過去にさかのぼってみたら次の絵になります。
ストーリー2
① 競争に負けたウサギが怒っている
② けんかをしているウサギとカメをみんながなだめている
③ ウサギとカメが協力してゴールしたことを喜んでいる
いかがですか?答えが変わりましたか?
もうひとつ過去にさかのぼってみたら次の絵になります。
ストーリー3
① 競争に負けたウサギが怒っている
② けんかをしているウサギとカメをみんながなだめている
③ ウサギとカメが協力してゴールしたことを喜んでいる
いかがですか?
どうしてそのような状況になったかがわかると、答えが変わりましたか?
答えは
④ ウサギとカメが協力してゴールしたことを喜んでいる でした。
第一印象だけがすべてではありません。
一目見ただけで決めつけてしまうと状況判断を間違ってしまうことがあるということに気づいていただけたでしょうか。
思い込みで突っ走らないために
心の状態が危機状態になると、相談することをためらってしまいます。
早とちりや思い込みが激しくなっている状態であるにもかかわらず、ほかの意見をきくことを拒んでしまいます。
思い込みを信じたい気持ちになってしまうのですね。
しかし、どんどん自分がつらくなってしまいます。
孤独になり、気分はうつうつとし、自分だけの世界に引きこもり、恐怖におびえ、気晴らしができません。
ほかの人とのコミュニケーションがなければ思い込みが間違っているかどうか、現実的かどうかを確認できません。
ぜひ、信頼している人に相談してみましょう。
信頼できる人と相談することは、間違った考えを修正したり、もっと危機的な状況に陥ったりすることを予防します。
メタ認知トレーニングでは、問題がおこったときには、自分に質問をしてみることをおすすめしています。
今日のポイント
・早とちりが思い込みにつながってしまっては大変
・第一印象をきめつけないようにしよう
・「一を見て十を知る」はやめよう
・規則性にだまされるな
・案外ちがう規則性がひそんでいる
・私たちの頭は、期待しているものだけしか印象に残らないことを知っておこう
・自分と違う意見に耳をかたむけよう
語句説明
結論の飛躍…少ない情報で結論づけてしまうこと。早とちりのこと
確証バイアス…○○に違いないと思い込んでほかの考えが浮かばないこと
思い込みで失敗を繰り返さないためには、第一印象を確信しないことです。
思い込んでしまう前に、自分への3つの質問を思い出してみるといいですね。
参考 MCT-J net メタ認知トレーニング+ ユニット6 思い込みを変えよう