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認知機能リハビリ

社会認知機能リハビリ「SCIT」を知ろう!【認知機能リハビリ説明編】

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対人関係に必要な社会認知機能リハビリを説明する第2弾です。

今回はSCIT(スキット)をご紹介します。

 

 

精神疾患を患ってから対人関係にストレスを感じやすいトラブルによく巻き込まれるなどの方におすすめです。

SCITは対人関係スキルのコツを盛り込んだプログラムになっています。

 

 

目次

 

SCIT(スキット)ってなに?

SCIT(Social Cognition and Interaction Training)は、統合失調症により社会認知機能が低下している方へのトレーニングプログラムです。

 

統合失調症は、お薬で幻覚や妄想がよくなったあとも認知機能の低下が続いています。

社会認知機能の低下が続いてしまうと、うまく対人関係や社会生活を送ることができなくなってしまいます。

 

 

この社会認知機能の低下はお薬でよくなりません。

現在できる治療法は、リハビリのみです。

社会認知機能へのアプローチは数多くありますが、その中のひとつがSCITです。

 

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社会認知機能ってなに?超簡単に説明

社会認知機能」といわれても、いったい実際どんなものなのか

簡単に言うと、相手の意図や気持ちを理解して行動するための機能です。

 

 

例えば

・会話をする

・相手の好きな食事をつくる

・与えられた仕事の課題をこなす

これらの行動には、必ず相手が関与しています。

 

 

相手の気持ちや「なぜそんなことを言うのか(やるのか)?」ということがわからないとうまく対応できなくなります。

社会認知機能がわるいと「空気がよめない」ことになります。

 

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具体的にどんなふうにやっているの?

これまで社会認知機能を説明してきました。

では、それを鍛えるSCITはどんなプログラムになっているのか?

 

SCITはグループセッションで取り組みます。

全20回で週1回1時間のトレーニングを行います。

 

 

SCITは統合失調症の方が低下しやすい3つの社会認知機能がターゲットになっています。

SCITのターゲット機能

・感情知覚

・心の理論

・原因帰属様式

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次はターゲットになっている社会認知機能を説明しながらトレーニング内容をお話していきますね。

 

 

第一段階

トレーニングの第一段階は、感情のキャッチです。

必要な社会認知機能は「感情知覚」です。

具体的には相手の表情をみて、相手の気持ちをキャッチする力です。

 

 

統合失調症の患者さんは、相手の気持ちを読み間違えることが多くあります。

これは、注意機能の低下により顔全体をみることが難しく、目や口など一か所をみてすぐに判断してしまうからです。

 

 

この特徴から、患者さんは「相手が怒っているのではないか?

と自分のことを悪く言っているに違いないなどと考えがちです。

 

 

SCITでは、顔全体に視野をひろげる練習をおこない、相手の感情が見分けられるトレーニングを行います。

セッションでは、はじめに今の調子や今日の気分、その強さなどを話してもらいます。

 

 

毎回この作業を繰り返すことにより、自分の感情に「喜び」「悲しみ」など名前がつけられ、その強さが認識できるようになります。

自分の感情がよくわかるようになると、人との共有もスムーズになります。

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相手の気持ちがわかるためには、まず自分の気持ちがわかることから始めます。

 

 

 

本トレーニングでは、写真や動画をみながら表情のポイントをつかむ練習をしていきます。

次の写真をみてください。 この写真の人はどんな感情を抱いているか、あなたはどう思いますか?

※実際のトレーニングで使われる写真ではありません。

この写真の人は、不快どちらの気持ちだと思いますか?

 

また次の8つの感情のうちどの表情と思いますか?

「喜び 悲しみ 怒り 疑い 嫌悪 驚き 恐怖」

 

それとも、ふつう(大きく感情が伴っているわけではない状態)ですか?

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一つの表情でもいくつかの感情が考えられて悩みますね。

 

 

 

こたえはこちらです。

こたえは、脱ぎ捨てられた靴下を見つけたときのお母さんの「嫌悪」の表情でした。

 

全体の状況の写真をみると想像しやすいかと思いますが、表情だけで判断することは難しいですね。

表情を見極めるためのポイントは、目、まゆ、眉間、口角などの形です。

 

 

それぞれの感情には、特徴的な表情のポイントがあります。

SCITでは、そのポイントをもとに写真の人の表情がどんな感情なのかを同定する、実際に自分でもその表情をつくってみる、そして、その感情は100%中何パーセントぐらいかを予測します。

 

こうして相手の感情がどのようなものなのか、大きさはどのくらいかが表情から読み取れるようなトレーニングをおこなっていきます。

 

第2段階

相手の表情から感情がキャッチできるようになったら、第2段階にすすみます。

第2段階は相手の行動に対して状況把握ができるようトレーニングしていきます。

 

 

状況を把握するためには、相手の感情や考えがあっての行動であることを読み取りまちがいや自分の思い込みで判断しない力が大切です。

必要な社会認知機能は、の理論」「原因帰属様式」です。

 

 

「心の理論」とは、相手の心の状態を推測する力をさします。

相手の行動をみて、どんなことを望んでいるのか、どんな気持ちでやっているのか、なぜその行動をとるのかなどが想像したり考えたりする力です。

 

 

統合失調症の患者さんは、幻覚妄想がよくなった後もこの力が低下していることがよくあります。

相手の行動の意図がよくわからなかったり読み取りまちがったりすることによって、相手の行動を疑いやすくなる傾向につながっています。

 

 

たとえば、相手の意図を考えることをしなかったら、「誰かが自分の部屋の前を通る」という行動に対して「自分のものを盗みに来た」と結論づけてしまうかもしれません。

 

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このような場面は、入院患者さんでも外来患者さんでもよくみられます。

相手の心の状態をどのようにとらえるかは、自分の考え方のクセがでやすいです。

考え方のクセのことを、もうひとつの社会認知機能「原因帰属様式」といいます。

 

 

相手の行動や何かトラブルがおこったとき、「あいつが悪いからだ」と考えやすいタイプと「自分が悪かった」と考えやすいタイプ、「運が悪かった」と開き直れるタイプなど、原因を考えるときはクセが出やすいです。考え方のクセが強いと、状況をゆがんでとらえてしまうこともあります。

 

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私がうけたSCITの講習では、ドラえもんに登場するキャラクターで説明がありました。

統合失調症の患者さんは、ネガティブな出来事があると誰かのせいにするクセが強く出やすい傾向があります。

 

トレーニングでは、自分のクセを理解して、すぐに結論づけず検証する、事実に基づいていることなのか推察したことなのかを区別するなどに取り組んでいきます。

 

 

第3段階

最後に、日常生活への応用です。

第3段階では、学んだことを自分の生活の中で使ってみてセッションで確認します。

 

どんな状況だったか、その時考えたことはどんなことだったか、感情はどのくらいだったか、そのためにどんな行動を自分はとったかを検証していきます。

こうして、日常生活の中で社会認知機能が正常に働いていくようになり、対人関係や社会のなかでのトラブルもうまくこなしていけるようになります。

 

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どこでやっているの?

SCITは、精神科病院やクリニックにおいてデイケアや心理療法、集団精神療法などのリカバリープログラムに取り込まれています。

 

現在、認知行動療法のように単独で診療報酬がついているわけではありません。

統合失調症の方のリカバリーに熱心な施設で行われていることが多いです。

 

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SCITをするとこんな効果があります!

SCITは、社会認知機能が正常に働くようになる効果以外にも、病気の症状も改善することが報告されています。

おすすめ本

 

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今日のまとめ

・SCITは、対人関係や社会生活に必要な機能をトレーニングするプログラム

・「空気を読んで」行動するためには、状況を正しく把握することが大切

・読み取りまちがいしやすい、相手の感情と行動の意図を徹底的にトレーニング

いかがでしたか?精神科では、精神疾患の方のリカバリーをささえるプログラムがいくつも用意されています。

社会認知機能がうまく働くようになると、社会生活がうまくいくようになります。

 

 

社会生活がうまくいくと、やる気や興味が増えて人生がかわります!

認知機能へのアプローチには希望がいっぱいです。

これからも、認知機能をキーワードに多くの方が元気になっていってもらえるような記事を更新していきたいと思います。

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