認知機能リハビリテーションのすすめ

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心理学 認知機能

精神科医のわたしが心理学を使って、やる気スイッチ(動機づけ)のしくみをわかりやすく説明します

投稿日:

 

勉強にしても仕事にしても「やる気」が大切です。

 

「やればいいのに…」「やってほしいな…」と思っても、なかなかひとは動きません。私自身も一緒です。

 

では「何が」ひとを動かしているのでしょう。

 

今回は、行動や活動への動機(動機付け)について、心理学の方面からひも解いてみたいと思います。

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homareko

この「やる気」のしくみを理解することは、相手に行動してもらう上でとても大切です。

 

 

 

 

心理学が教えてくれる「やる気スイッチ」(動機付け)のしくみ

心理学の中で「やる気」は動機もしくは動機付けと表現されます。

古くからこの分野はよく研究され、詳しく解明されています。

ひとことで「やる気に結びつける」といっても、「やる気(動機付け)」にはいろいろあります。

 

 

仕事をしない同僚・勉強をしない息子など目の前の困った状況をイメージしてみましょう。

あなたの目の前の困ったさんに対して、あなたはどんなアプローチをしていますか?

「リハビリをやってみよう」と思ってもらうために、どんな動機付けをしていったらいいかと悩みます

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作業療法士

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homareko

そうですね。まず、どんな種類の「やる気(動機付け)」があるかみてみましょう。

 

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やる気スイッチ(動機づけ)のいろいろ

この、動機付けの分類は、自己決定理論Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2000) に基づいています。

まず、行動と結果が結びつかなければやる気スイッチ(動機)は生まれません。(非動機づけ

本人を動かし続けることができるのは、内発的動機づけが理想です。

 

 

簡単に言うと

・お金が欲しいから仕事をする→お金が貯まったらやる気がなくなる

・この仕事がやりたいからする→やりたい理由が変わらない限り続ける。

といった感じです。

 

活動それ自体が「楽しいから」「おもしろいから」「興味があるから」といった本人の目的となれば、放っておいても自分自身できちんと動いていきます

そのためには、「自分自身で決めた」、「選んだ」(自由選択)という状況が大切です

 

 

 

皆さん。誰かを動かしたいとき、自分を動かしたいときの働きかけは主に外発的動機づけになっていませんか?

例:

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homareko

つべこべ言わずやりなさい!!

はい。(はいはい、出た出た、医者の傲慢)

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ikikan

 

 

こんな感じで、外発的動機づけは自分ですすんで動いているわけではないので、その欲求が満たされたもしくは満たされないことによってすぐに「やめた」という状況になってしまう危険性があります。

こんな事、意味も分からずやってられるか!!

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ikikan

 

 

勿論きっかけはどうであれ、その行動が続けば良いといった見方もあります。

「行動や活動のきっかけは案外よこしまだった」ということはよくあることです。

例:

(ふざけた命令と思ったけど、案外やってみたら面白いじゃないか。もう少しやってみるか)

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ikikan

 

 

 

よこしまなきっかけで始めた活動でも、自分がやりたいからやっているんだという内発的動機づけへ近づけていければ(内在化)、その行動は自発的に続いていきます

 

何事においても、自分からすすんでやるという状況が一番理想的ですね!

 

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homareko

ご協力ありがとうございます。

はい。ならもう少し添削しないでいい文章に仕上げてから、原稿持ってきてください(´Д`)

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ikikan

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homareko

…頑張ります(くっそぉ…)

 

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外発的動機づけスイッチの分類と落とし穴

 

人をその気にさせる、やる気にさせるために、よくやってしまう動機づけは、外発的動機づけです。

これから日常にありそうな場面をピックアップして、その状況から説明していきたいと思います。

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homareko

外発的動機付けは、自分がやりたいと思う気持ち(自己決定性、自律性)の大きさによって分類されています。

 

 

(外的)外付けの要因(罰、報酬)≧自分がやりたいと思う気持ちの大きさ

宿題の提出が明日だけどやっていない

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子ども

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おかあさん

宿題明日までが締め切りでしょ。やらないと先生に怒られちゃうでしょ。

宿題明日までが締め切りなんだ。頑張ってやったらおもちゃ買ってあげるから頑張りなさい。

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おばあちゃん

怒られるの嫌だから、おばあちゃんおもちゃ買ってくれるっていうからやるか…

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子ども

 

このやる気スイッチは、自分でやりたいと思う気持ちが一番小さい動機になります。

 

罰を避ける」ためや「報酬を受け取る」ためなどに従うタイプです。

人付き合いが受け身なタイプ、内向的な人のタイプですね。

 

この方法は罰を受けない・ご褒美がもらえたなどで心が満たされた後は、自分からもう一度やってみよう・もう少し詳しくやってみようと結び付いていくことはありません

 

 

(取り入れ)外付けの要因(期待、要望、要請)<自分がやりたいと思う気持ちの大きさ(不安、恥、プライドを傷つけられたくない)

宿題の提出が明日だけどやっていない

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子ども

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おかあさん

やっていかなかったらみんなに馬鹿にされたりしないの?

明日クラスで「できないやつ」って思われたくないからやるか…

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子ども

 

このやる気スイッチは、周囲の期待や要望をうけて(または感じて)「期待されていることを裏切りたくないから」「恥をかきたくないから」などの理由づけから自分のプライドを保ちたいと頑張るタイプです。

 

負けん気が強いタイプ・見栄を張るタイプ・責任感が強いタイプと言っても良いですね。

 

ただ、活動そのものの楽しさは感じていないので、自分からやりたいと思う気持ちより、やらなくちゃと思う気持ちが動機になりがちです。

 

 

(同一化)外付けの要因(期待、要望、要請)<<自分がやりたいと思う気持ちの大きさ(価値がある、有意義だ、有用だ)

宿題がテストに出るって先生言ってたしなあ。テスト勉強になるからやるか。

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子ども

 

このやる気スイッチは、要請された活動が、自分にとって「重要だ」「得だ」「価値がある」考えて取り組むというタイプです。

 

得だからやる・価値があるからやる。

といっても、その活動そのものへの興味や関心がないので、この動機だけでは自分から進んでやることにはつながりません。

 

自分の好きな事ではないけど、メリット・デメリットを考えて行動する事は良い事です。

これが最も多いタイプなのではないのかな?と思います。

ですが、これもまた自分から進んで行ってはいないので、負荷がかかります

 

 

(統合)外付けの要因(期待、要望、要請)<<<自分がやりたいと思う気持ちの大きさ(将来の夢につながっている、価値がある、有用だ)

宿題をやることは、自分が将来なりたい仕事のためだ、がんばろう。

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子ども

 

ここまで挙げた報酬や罰・期待・プライド・損得などに価値を求めるだけでなく、自分自身の他の目的とつながっているから取り組むというやる気スイッチです。

このタイプは、外発的動機づけの中でも一番自分からやりたいと思う気持ちが大きいです。

 

簡単に言うと目標の為に頑張るといった姿勢です。

大変素晴らしい姿勢です。こういった人は課題を与えれば、自ら学習していくタイプといっても良いでしょう。

 

 

でも一番理想的なやる気スイッチ(動機づけ)は…

 

 

 

(内発的動機づけ)自分がやりたいと思う気持ちの大きさMAX

あの宿題は解くのが楽しいからやろう。もう少し詳しく知りたいな。

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子ども

 

といった、自ら進んで行う姿勢だけではなく

その物事を楽しんで取り組む姿勢がある様子です。

こういった様子が見られる時は、特にこちらからアプローチしなくても自らアクションを起こしています

何かしらのアドバイスをする時は、その行動をより具体的にする・効率よく行う為の方法を伝える事が良いですね。

 

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homareko

この様な内面を観察しながらアプローチしていくと、より強い動機付けに結びついていくと思います。

 

 

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押し間違えるとやる気がなくなる外発的動機づけスイッチ

きっかけがどんな理由であっても、自律性の高い方向(内発的動機づけ)へと動機を変化していくこと(させていくこと)(内在化)が大切です。

ただ外発的動機がやる気を削いでしまうことがあるので要注意です。

そのためのポイントをイラストでまとめてみました。

例えば「〆切がある」といった設定でも、考え方によっては「なんだかやらされている感…」を「よし!やろう!」に変えることができます

 

先ほども同様の事を言いましたが、相手が自ら計画を建てて考えている場合はそれを支援していく。

これに対してプレッシャーを感じている場合はアプローチの方法を変える必要がある。

といった事になりますね。

 

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今回は、相手のやる気を引き出すための関わり方「動機付け」についてを説明してみました。

人は何かしらの行動を起こす時は、必ずそのきっかけがあります。

 

心理学上では、その行動をしない事も自ら判断して行動していると判断しますのでやりたくない事には必ずその人なりの理由があります。

次回はこの「動機付け」のヒントの続きを説明したいと思います。

 

引用参考資料:

 

 

溝上慎一の教育論→HPはこちら

 

自己決定理論 (self-determination theory: Deci & Ryan, 1985, 2000)

Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2000). The “what” and “why” of goal pursuits: Human needs and the self-determination of behavior. P

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