先日、「CEPD研究会」にいってきました。
「CEPD」とはCognitive Enhancement in Psychiatric Disorders の略で、精神疾患における認知機能障害を研究する会です。
現在、精神科の大きな学会でも認知機能障害は注目され話題になってきました。この研究会は、日本で唯一の認知機能障害を研究する全国大会です。
CEPD研究会ホームページ→リンク先
研究会では、全国各地において研究やリハビリを第一線で行われている先生方の発表やディスカッションがあり、これからリハビリにどう取り組んでいくかを考えるいい機会になりました。
私がこれから生かしていきたいこと3つ
・認知機能低下の特徴から治療につなげる
・患者のリカバリーや社会参加に結びつかなければ、リハビリの成功とはいえない
・臨床感覚が、リハビリを妨げている要因を明らかにできる
2000年頃より、日本でも認知機能が注目され、2005年頃からは認知機能矯正療法(認知機能リハビリ)が精神を患った人の社会生活をとりもどす治療戦略として導入されました。
しかし、認知矯正療法のみでは、社会転機に直接つながらない現実が待っていました。
そこで、リハビリのノウハウやより多くの患者さんへの提供の実現を考える一方、何が社会転機の妨げになっているのか、どのような点に注意してリハビリに従事していったらいいかという点が今回の研究テーマだったかと思います。
精神疾患別に考えるのではなく、認知機能を中心にとらえていった方が治療に結びつきやすいのではないか。
認知機能障害をひとまとめにせず、一つ一つの機能の低下を分析していかなければ、より有効な治療戦略がたてられないのではないか。
認知機能リハの有効性が期待されていたほどではない現実を、どのように考えればいいか。などなど。
認知機能障害を治していけば、患者さんの生活や笑顔、元気につながると信じつき進んできましたが、この道ですすむことはあってるの?と複雑な気持ちになりました。
しかし、「臨床現場での成功例から、妨げになっている因子をみつけだしていく」とおっしゃっていただいたことが心の支えです。
認知機能の改善から患者さんの望む生活、社会参加に結びつけていくことは、精神疾患で苦しんでいる方々の希望であり、リハビリの成功は臨床現場に託されているのだと微力な私にも使命感が芽生えた一日でした。
医者の世界は、学会に発表したり、研究したり、成果を形にした人が評価される世界です。
私は、その分野が大の苦手で、研究ほど多くの患者さんは救えませんが、臨床医として目の前の患者さんをよくすることにこれからも努めていきたいと思います。
そして、リハビリを通して感じたことを大切に言葉にしながら認知機能リハビリの世界に貢献することができればと思っています。
このブログが、認知機能低下で困っている人、リハビリに従事する人のお役にたてればと、これからも頑張って更新していきたいと思います。